世界を旅する目 Daig_Oさんが導くGeoGuessrコミュニティの成長と未来
このコーナーではゲームコミュニティをまとめ上げる旗振り役やインフルエンサーの人物像とその熱意を取り上げ、TAIYOROを通して読者の新たなゲームコミュニティの発見を目指すインタビューを掲載しています。今回はGeoGuessr公認プレイヤーのDaig_OさんにGeoGuessrで目指すコミュニティのあり方、そしてまもなく開催されるGeoGuessr World Cupについてお話を伺いました。
簡単に自己紹介をお願いいたします
GeoGuessr公認プレイヤーのDaig_Oです。普段はGeoGuessrの面白さを日本の皆さんにお伝えするために、主にYouTubeでプレイ動画や解説動画を投稿したり、大会の開催やウェブサイトの運営をしたりしています。最近はイベントに参加したり、公式大会のキャスターとして呼んでいただいたりもしています。色々な方向からGeoGuessrの良さを伝えていけたらと思って活動しています。
GeoGuessrを始めたきっかけ
5年前ぐらいにTwitter(現X)で、誰かの「このゲーム面白いぞ!」というようなツイートが流れてきたのがきっかけでした。当時は本当に無名のゲームで、やっている人も全然いなかったんですが、試しにアプリを入れて遊んでみたら・・・衝撃でしたね。こんなゲームがあるのかと。元々旅行も好きで、ストリートビューでいろんな景色をただ見て楽しんでいたりもしたのですが、それがゲームになるんだという体験がすごく衝撃的で、一気にハマってしまいました。その時はデュエル(対戦モード)はなかったので、一人でやってどこまで行けるか、みたいなゲームでした。
Daig_Oさんは元々ゲームをされていたのですか? ゲーマーというほどではないです。人並みにゲームをやったことがある程度で、ハマってずっとやるみたいなことはほぼなかったですね。GeoGuessrはゲームといえばゲームなのですが、最初にハマった時は、ゲームというよりも、いろんな景色をどんどん見られるコンテンツ、という幅広い捉え方をしていました。
GeoGuessrの魅力はどこにありますか?
やっぱり色んな風景が見られることも一つですが、極めることに終わりがないというのも魅力的だと思います。景色は事実上無限に存在するので、すべて覚えるのは不可能ですし、正解のわかりにくさがほどよいんですよね。極める方法も一つじゃないというか。競技的な側面で「この電柱はどこ」みたいな一般的な知識はもちろんあるんですけど、似たような景色をどれぐらい見てきたか、その上でどれぐらい外してきたか、という経験も重要で、どれだけやっても完全にマスターすることはできないっていうのが面白いところだと思います。 シンプルでわかりやすいゲームですし、初心者でも十分に楽しめるという点も大きな魅力だと思います。
GeoGuessrは知識と経験を蓄積していくゲームという印象ですが、初心者が上級者に追いつく、追い越すことってあるんですか?
できるんじゃないですかね。追いつけると思います。例えば今年のGeoGuessr World Cupに出場しているShiinaさんも初めて一年くらいで去年のworld Cupに出場しましたね。Sp4ghetさんも一年ぐらいで出場してるので、昔に比べても上達速度がどんどん早くなっていると感じますね。昔はレファレンスのようなものはほぼなく、ひたすら自分で「これ使えるのかな、使えるぞ、この地域にしかないらしいぞ」と導き出していくしかなかったんですよね。今は文献が豊富になってきていますし、強い人もたくさんいて教わることもできるので、強くなりやすい環境が出来上がってきていると思います。 RTA的な要素に近いのですが、時間と共に今まで無視されていたものが攻略の鍵になってくることもあったり、逆にこれまで使えていた手がかりがストリートビューの更新で使えなくなったりすることもあるんですよね。なので長いことやってる人もこれまで蓄えた知識を更新していく必要があるんですよね。
GeoGuessrで世界中の景色を見ながら、実際に行ってみたいと思った場所はありますか?
北の端と南の端ですかね。南米アルゼンチンの端っこにあるウシュアイアという街や、ノルウェーのスヴァルバル、デンマーク領のグリーンランドなど。もうほんとすごいところなんですよ。ウシュアイアはまだ大きな町なんですけど、スヴァルバルやグリーンランドはマイナス何度なんだろうっていうぐらい過酷な山岳地帯に人が住んでいて、コミュニティがそこにあるって想像しただけでワクワクしてくるんですよね。GeoGuessrをプレイしているといろんな発見があって面白いです。クイズの手掛かりにならなくても、こんな家に住んでるんだとか、どんな歴史や文化があるんだろうとか、自分とは全く異なった生活をしている人たちが世の中にいるということが良くわかるんですよね。 あとはGeoGuessrアイテムを見にいったりとかはありますね。GeoGuessrをやっていて見つけた変わった電柱や、ボラードなど、どこにいけば見に行けるのかをリサーチしてわざわざそこに見にいくとか。 こういった手がかりになるアイテムや、地形的特徴がある場所は、GeoGuessrファンならみんな魅力を感じるものだと僕は勝手に思っています。 新婚旅行でヨーロッパにいった時、妻が行きたがっている観光地そっちのけで、自分が「この変わった電柱が見たい!」と無理を言って寄り道をし、呆れられながら写真撮ってもらうとか何回かありましたね。笑
GeoGuessrをプレイすることで得た知識や経験が、日常生活や他の活動にどのように影響を与えていますか?
GeoGuessrをやる前から「この風景いいな」と思っていた場所の写真があって、でも場所の名前とか一切書いてなかったんですよ。それをGeoGuessrスキルで場所を割り出して、実際に行けたっていうことがありましたね。 私生活だと、例えば日本だと軽自動車のナンバープレートって黄色だと思うんですけど、コロンビアとかオランダとかイスラエルとかは全部黄色ナンバーなので、見かけるとたまに「おっ」ってなったりすることがあったり・・・あとは看板の裏側にワクワクしたりとか、現実を歪められてるというか、ゲームから現実に帰ってもそういうところを見ちゃうことがありますね。 GeoGuessrをやることで、何気なく過ごしていた日常の解像度が上がることは間違いないですね。
ファンの提案するゲームを取り入れるなどコミュニティ主導的なGeoGuessrですが、具体的にDaig_Oさんから見てどのようなコミュニティですか?
オタクの集合みたいな感じですかね。笑 ゲームとか地理が大好きで楽しみを追求するのをやめない人たちが集まってるイメージがありますよね。日本もそうですが、特に海外はコミュニティがいっぱいあって、みんなでGeoGuessrをやったり、知識を出しあって交流したり、強い人が教えたり勉強会したりしてますね。 ゲームに楽しみ方が色々あるからこそ、多様なコミュニティがあってコミュニティ主導で成長しているのは間違いないです。 例えばカントリーストリークというモードも元々は有志のプラグインだったんですよ。それを公式がマージしてくれてメインの機能になったり、最近実装されたコミュニティ機能の中でも、有志のプラグインが紹介されていてそれを入れられるようになっていたり・・・コミュニティなくして成長はなかったゲームだと思います。公式がコミュニティのさまざまな楽しみ方を推奨していて理解があるのはとても良いですよね。
Daig_Oさんの目指すコミュニティについて
優しい世界ですかね。 みんなが好きな楽しみ方で楽しめるコミュニティが一番いいなって思うんですよね。もちろん「強くなるんだ!」っていう楽しみ方もあると思いますし、景色を見るだけでいいっていう人もいるだろうし、ちょっとエキセントリックなことやってる人もいたりして。みんながそれぞれをちゃんと認め合って、好きな人同士で集まったりしつつ、多様な遊び方や成長の仕方を尊重し合える場所にしていきたいですね。 超初心者の人達と遊んだことがあるんですが、「これ〇〇っぽくない?」と悩みながらも議論して探っていくのがすごく楽しそうだったんですよね。自分から見ると絶対違う場所だけど、めちゃくちゃ楽しそうに遊んでいて、ああ確かに自分が始めた時もそんな感じだったなと思って・・・もちろん正確にピンポイントで当てていく楽しみもあるんですが、知識ゼロでみんなでワイワイ楽しめるのも魅力的ですよね。一度知識をつけちゃうとそこには戻れないので、ちょっと切なさも感じています。
TAIYOROについて思うこと教えてください
今はゲームの大会カレンダーだけだと思うのですが、配信者というか名のあるクリエイターの方とかの専用ページがあって、その人が主催してる大会とか配信の予定が見れたらいいなと。ちょうどそういうウェブサイトないかなーと思っていたので、ぜひTAIYOROで今後導入されたら嬉しいですね。クリエイター側にアクセスキーがあって、各々が主催するイベントを掲載できるようになったりするのも良いですよね。
GeoGuessr World cupがまもなく開催されますがお気持ちはいかがでしょうか?
去年はドタバタな感じでしたが、今回は2回目のWorld Cupということで洗練された感じがします。去年の大会をきっかけに出場したいという気持ちを持った人も増えたと思いますし、ちゃんとした体系もできてきているので、去年とはまた違って、本格的なesportsという枠組みで歩み出し始める大会なのかなと。 去年は招待制だったのですが、今年は地域大会やワイルドカードもあり、本当にめちゃくちゃ強い人たちが集まった大会なので、すごくワクワクしています。
GeoGuessr World Cupに日本人選手が2名出場することについてコメントありますか?
世界的に見ると日本のコミュニティって独立してる部分があると思うんですよね。攻略方法などについての情報交換にもやはり言語の壁があるので、その分情報の密度が高いのかもしれないですね。地区予選がある今年のフォーマットで、日本人選手2名が出場を勝ち取っているというのは大きな意味があると思います。ShiinaさんもSp4ghetさんもオールラウンダーで抜群に強いので、自分がうまく説明するのは難しいのですが・・・Sp4ghetさんは体系的な物よりも、細かくて変な手がかりが好きと言っていたので、自分しか使えないものとかを持ち合わせてたりするかもしれないですね。Shiinaさんは手がかりがあれば確実に当ててくるという盤石な強さがある中で、さらにアルゼンチンやロシアなど得意な国があるので、そこも注目ポイントですね。
GeoGuessr World cupの見どころはどこにありますでしょうか?
去年より全体のレベルが上がってるところもですが、特にグループAは去年の決勝の二人が入っていて、Shiinaさんもいると。死の組と言われてますね。笑 私が個人的に注目しているのはGINGEYなんですが、彼はどこを見て判断しているのかよくわからないんですよね。何にもないところで当ててきたりするので面白いです。 そもそも強い選手たちが一度に集まって大会をするということ自体が滅多にないので、どんな試合になっていくのか楽しみですね。今年は地区大会がありましたが、そこを勝った選手達は流れに乗って調子も上がってきていると思うので、彼らがどういう活躍を見せてくれるのかも見どころですね。昨年チャンピオンだったCONSUSは、今年のヨーロッパ地区大会ではあまり結果が振るわなかったのですが、もし今年も優勝するようなことがあれば本当にすごいことだと思います。GeoGuessrって運要素が少しあったり、ちょっとした心境変化によってもパフォーマンスに影響が出るゲームなので、強い選手たちがどのように実力を出して勝っていくのか期待です。そしてもちろん、日本人選手のお二人もDay3までいくポテンシャルがあると思うので楽しみです。
Daig_Oさんの今後の動向を教えてください。
YouTubeのコンテンツ作りなど、今やっていることはこれまで通り続けつつ、今後はもっとクリエイター同士の交流を増やしていきたいなと思っています。また、大会をもっと開いて、プレイする側も見る側も楽しめるような機会を作っていきたいですね。 正直、自分より強い人ってめちゃくちゃいると思いますし、自分より面白さを出している人もいると思います。その中で何をしていくか考えたときに、やっぱり自分としては大会運営・解説やイベント開催など、チャンネルの大きさを活かして皆さんに新しい機会を提供していければなと思っています。あとはGeoGuessrの面白さをどんどん広げていきたいので、他のゲームをやっている方とか、全くゲームやらないけど興味ありそうな方とコラボしたりなど、さらに活動の幅を広げてやっていきたいです。
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撮影・取材 TAIYORO編集部