“日本最強”の羅針盤となるために。sp4ghet氏、Kai氏が牽引するRASHINBAN 2025独占インタビュー【TAIYORO INTERVIEW】
GeoGuessrの競技シーンに、新たな熱狂の震源地が生まれようとしている。その名は「RASHINBAN」。“日本最強決定戦”を掲げ、トッププレイヤーから新世代の才能まで、あらゆる猛者が集うオフラインコミュニティ大会だ。 これまでオンラインが主流だった国内シーンにおいて、なぜ彼らは大規模なオフライン大会の開催を決意したのか。その仕掛け人であるsp4ghet氏とKai氏に、大会に込めた想いと、その先に見据える未来について語ってもらった。
2025-08-07 16:30
RASHINBANコンセプトと初開催の意義
Kai: すべての始まりは、赤羽の居酒屋でしたね。
sp4ghet: もともと、日本でオフラインの大会をやりたいという想いがずっとあったんです。海外では公式の「GeoGuessr World Championship (以下、World Championship)」のような大きな大会がある一方で、国内では誰もが気軽に参加できるオンライン大会が中心でした。もちろんそれも素晴らしい文化ですが、その両極端の間を埋めるような、勝てばしっかりと栄誉が讃えられるような、そんな“本気の大会”があってもいいんじゃないかと。
特に、World Championshipには18歳以上という年齢制限があります。ですが、オンラインのランキング上位には、驚くほど強い18歳未満のプレイヤーがたくさんいる。彼らが実力を証明し、輝ける場所を国内に作りたかった。それが一番の動機かもしれません。
Kai: もう一つ感じていたのは、新規プレイヤーが継続して楽しむための「受け皿」の必要性です。最近はメディア露出なども増え、新しくGeoGuessrを始めてくれる方は多いのですが、熱意を持ったプレイヤーがいつの間にかシーンから離れていってしまうことも少なくありません。
彼らをつなぎとめるには、熱狂を生み出す「コンテンツ」と、安心して集える「居場所」の両方が必要だと考えました。その熱狂の象徴として、オフライン大会は最高の形だと思ったんです。
「日本最強決定戦」というスローガンを掲げたのも、そうした想いの表れです。今回は、これまでシーンを牽引してきたトッププレイヤーたちも参加を表明してくれています。そこに、まだ見ぬ新世代の才能が挑む。
年齢やこれまでの実績に関係なく、誰もが参加できるオンライン予選を勝ち抜いた者たちがオフラインの舞台に集う。これこそ、真の日本最強を決めるにふさわしい場所だと信じています。この大会が、世界を目指すプレイヤーたちにとっての「登竜門」のような存在になってほしい。そんな願いも込めています。
大会形式とフォーマット設計
sp4ghet: 「日本最強」を決めるからには、競技性の高さには徹底的にこだわりました。
Kai: GeoGuessrは少なからず運の要素が絡むゲームですが、それが勝敗を大きく左右しすぎないよう、実力者が正当に評価されるフォーマットを目指しています。まず、本戦では「ダブルエリミネーション方式」を採用しました。
一度負けただけでは終わらず、敗者側のトーナメントから勝ち上がれば、再び優勝のチャンスがある。2回負けるまでは敗退しないので、実力がより反映されやすい形式です。
sp4ghet: また、試合で使うゲームモードの順番を選手自身が選べるようにしたのも、こだわりの一つです。公式大会では順番が固定されているため、特定のモードが苦手な選手が不利になる可能性がありました。今回はその制約をなくし、各選手が自分の得意な戦略をぶつけ合えるようにしています。
Kai: 特に、公式大会のルールの中には、プレイヤーから見て賛否両論あるものも存在します。僕たちが今回採用するフォーマットが、競技性とエンターテイメント性の両面で優れていることを証明できれば、いずれ公式大会へ「逆輸入」されるような流れも生まれるかもしれない。そんな期待も少しだけ抱いています。この大会は、僕たちにとっての「実証実験」でもあるんです。
プレイヤー体験と戦略性
Kai: 参加してくれるプレイヤーには、とにかく自分の持てる力のすべてを出し切って、後悔のない戦いをしてほしい。そのための舞台は整えたつもりです。ただ、ストイックな競技の場であると同時に、コミュニティの「お祭り」にしたいという想いも強くあります。オフライン決勝の会場に集まって、プレイヤーもファンも関係なく交流を楽しんでほしいですね。
sp4ghet: 観戦してくれる方々には、トッププレイヤーたちの超絶プレイの裏側にある“思考”まで楽しんでもらいたいと考えています。そのために、今回は「アナリスト」という役割を設ける予定です。試合後に、なぜあの場面で正解を導き出せたのか、どんな情報から推測したのかを視覚的にわかりやすく解説するパートを用意します。
これを見れば、「神ゲス」に見えるプレイも、実はロジックに基づいていることが理解できるはずです。GeoGuessrをプレイしたことがない人でも、競技の奥深さに触れてもらえるきっかけになれば嬉しいですね。 また、日本には本当に多様なプレイスタイルの選手がいます。ある一つの側面に異常に特化した、いわゆる“よくわからない強さ”を持った選手もいる。そういった個性的なプレイヤーたちがぶつかり合う様は、見ていて絶対に面白いと思います。この大会を通じて、それぞれの選手の魅力が伝わり、ファンが増えてくれたら最高です。
GeoGuessrシーンとの位置づけ
Kai: このRASHINBANは、World Championshipをはじめとする国際大会と断絶したものではなく、むしろ強い「接続性」を持つコミュニティ大会だと考えています。公式の世界大会と、日々のコミュニティ大会との「中間」に位置することで、国内のプレイヤーたちが目指すべき具体的な目標となり、世界へ挑戦するための「登竜門」としての役割を果たしたい。
大舞台、しかもオフラインという独特の緊張感の中で戦う経験は、必ず世界で戦うときに活きてきます。そうした実践経験を国内で積める場を提供することで、日本全体の競技レベルの底上げにも繋がるはずです。 「羅針盤」という名前には、GeoGuessrのコンパスというモチーフだけでなく、国内プレイヤーが目指すべき「指針」となる大会にしたい、という想いを込めています。
sp4ghet: 以前、国際大会の会場で、世界中のプレイヤーがリアルで集まって交流している光景を見て、オフラインの価値を再認識しました。オンラインでは名前しか知らなかった人たちと顔を合わせ、語り合う。その熱気は本当に素晴らしいものでした。RASHINBANが、日本のコミュニティにとってそういう場所になってくれたら嬉しいです。
今後の展望とメッセージ
Kai: まずは、今回の予選と本戦を成功させることに全力を注ぎます。ですが、これはゴールではなく、壮大な物語の始まりです。将来的には、もっと間口を広げたリーグを作ったり、RASHINBANというブランドで様々な形式の大会を展開していく構想もあります。この大会を起点として、競技シーンだけでなく、GeoGuessrというゲームを取り巻くエコシステム全体の発展に貢献していきたい。
このゲームは、単なる暇つぶしではありません。知的好奇心を刺激し、世界を学ぶきっかけを与えてくれる。競技を通じて、目標達成のための思考力や努力する姿勢も身につく。そうしたゲームの持つポテンシャルを、もっと社会に伝えていくような活動もしていきたいですね。
sp4ghet: そして何より、競技人口を増やしたい。特に、まだ世に出ていない若い才能が、この大会で大暴れしてくれることを期待しています。僕たちより強いプレイヤーは、本当にたくさんいるんです。彼らがその実力をいかんなく発揮し、世代交代を告げるようなドラマが生まれるのを楽しみにしています。
Kai: 最後に、この大会は僕たち二人だけでは決して実現できませんでした。企画に賛同し、それぞれの専門分野でプロフェッショナルな仕事をしてくれる50人以上の仲間が、このビジョンのために集まってくれました。この熱量こそが、今のGeoGuessrコミュニティの可能性そのものだと感じています。
手伝ってくださる皆さん、そして応援してくれるすべてのファンの方々への感謝を忘れず、全員で最高の「お祭り」を作り上げていきたいです。ぜひ、この熱狂を目撃しに来てください。
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sp4ghet氏の公式アカウント
Kai氏の公式アカウント
取材: TAIYORO編集部