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「僕より強い人はいっぱいいる」― RASHINBAN 2025 共同主催者sp4ghet氏がGeoGuessrプレイヤーから“未来を拓く主催者”へ 【TAIYORO INTERVIEW】

「僕より強い人はいっぱいいる」― RASHINBAN 2025 共同主催者sp4ghet氏がGeoGuessrプレイヤーから“未来を拓く主催者”へ 【TAIYORO INTERVIEW】

2024年のGeoGuessr World Championshipに出場し、日本の競技シーンを牽引する存在として知られるsp4ghet氏。トッププレイヤーとして世界と渡り合う一方で、国内最大級のオフライン大会「RASHINBAN 2025」を主催するなど、コミュニティの未来を創るキーパーソンでもある。 常に冷静沈着なプレイスタイルと、時折見せるユーモアのギャップが彼の魅力だ。今回はそんなsp4ghet氏に、GeoGuessrとの出会いから独自の思考法、そして競技シーンへの熱い想いまで、深く語ってもらった。

2025-10-23 18:08


自己紹介

sp4ghetと申します。2024年のGeoGuessr World Championshipに出場し、今年はAPAC(アジア太平洋地域大会)にも出場しました。

GeoGuessr自体は、2023年の5月末くらいから本格的にプレイしています。

GeoGuessrに出会い、ハマったきっかけ

始めたきっかけは、2022年の後半くらいにRainboltというアメリカのプレイヤーの動画を見たことです。

彼が主催する大会の動画や、アイトラッカーを使って「プレイ中にどこを見ているか」を解説する動画を見て、「地理が得意な人や旅行好きがやるゲーム」だという自分のイメージが変わりました。

実際には、そうした教養よりも、GeoGuessrならではの観察力やパターン認識といった“ゲーム的なスキル”で戦う世界なんだと気づいたんです。

そこに競技性があることを知り、面白そうだなと思って、しばらくは寝る前に動画を眺める毎日でした。実際に自分でプレイし始めたのは、他のことで忙しかったのが落ち着いたタイミングです。

動画をたくさん見ていたので、自分も結構できるんじゃないかと思っていたんですが、実際にやってみると全然違いました。

見てるだけではわからない、プレイヤーの中では常識すぎて語られないようなことが結構あって。そういう発見が楽しくて、どんどんのめり込んでいきましたね。

得意とするモードや好きなマップ

練習で一番やっているのはNo Move(移動なし)ですが、Moving(移動あり)も比較的得意なモードだと思っています。

NMPZ(移動・パン・ズームなし)はあまり練習しないんですが、世界大会で使われるような意地悪な問題設定のマップは意外と好きだったりします。

昔、参加型の配信でNMPZをよくプレイしていたので、その名残かもしれません。ただ、それぞれのモードに特化しすぎている猛者がたくさんいるので、彼らには敵わないですけどね。

好きな地域は…すぐには思いつかないですね。逆に苦手なのは日本です。

日本の景色って、標高が似ていれば離れた場所でも植生が似通ってしまうことが多くて、自然の風景から場所を特定するのがすごく難しい。

結局、看板の地名とか人工物から情報を得る「愚直な暗記ゲー」になりがちで、ゲーム性としてあまり面白いと感じないんですよね。

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一番印象に残っている試合

2023年のWorld Cup準決勝、Blinky対RCの試合です。

Blinkyは言わずと知れた人類最強プレイヤーで、圧倒的な知識量で戦うスタイル。

一方、当時のRCは、何を見てどう判断しているのか僕にはまったく理解できない、まるで“宇宙人”のようなプレイヤーでした。

知識量のゲームだと思っていたGeoGuessrで、常識では考えられないプレイをする選手がトッププレイヤーと互角に渡り合っているのを見て、「なんだこれは」と衝撃を受けたのを覚えています。

RCというプレイヤーの異質さを初めて認識できた試合として、強く印象に残っていますね。

思考法・地図の見方にある流儀

僕のちょっと変わった特徴として、国旗と言語がわからない、というのがあります。

さすがにドメイン(国別コードトップレベルドメイン)は覚えましたけど、ヨーロッパの言語の違いなんて未だによくわかりません。

じゃあ何で判断しているかというと、看板のフォントや色味なんです。

例えば、「このフォントはこの国のフォントだ」という感じで覚えているので、書いてある文字が何語かわからなくても国を特定できる。文字そのものより、デザインの方が僕にとっては覚えやすいんです。

ちょっと変わったクセ

GeoGuessrを始めてから、街中のインフラを凝視するようになりましたね。

特に電柱はよく見ます。この前、結婚の挨拶で妻の実家がある山口県に行ったときは、ひたすらガードレールを探す旅をしていました。GeoGuessrで有名な、黄色いガードレールです。

実際に見つけても「あ、あるな」くらいで、テンションが上がるわけでもないんですけど、なぜか見つけなきゃいけないという使命感があって。不思議な感覚です。

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プレイヤーと大会運営者の違い

プレイヤーとしてやっていた頃は、GeoGuessrに教育的価値があるとか、歴史が関係しているとか、そういうことは1ミリも考えたことがありませんでした。あくまでゲームとして楽しんでいたので。

でも、大会運営という立場でいろんな人と話していると、「地理の勉強になる」「歴史の導入に良い」といった反応が返ってくることが多くて、世間ではそういうイメージを持たれているんだなと知りました。僕自身はかなり特殊で、歴史にも興味がないタイプなので、新しい発見でしたね。

あとは、規模が大きくなると、関わる人が増えるので大変です。個人のオンライン大会なら何かトラブルがあっても「俺の金だからこうする」で済みますけど、今はそういうわけにはいかない。その場のノリが通用しなくなるので、責任の重さを感じます。

コミュニティで大切にしたい軸

やっぱり「競技性」ですね。GeoGuessrは競技としてやっている時が一番面白いゲームだと思うので、その面白さを広めていきたいです。

僕自身が世界マップで育ってきたプレイヤーなので、GeoGuessrは世界マップがデフォルトであってほしい、というこだわりもあります。

今後の動向

10月のRASHINBAN本戦までは、とにかく大会の準備に集中することになると思います。その後はどうなるか、まだわかりません。

個人的な野望としては、いつかGeoGuessrで生活できる人間が生まれるといいなと思っています。そのためにも、まずはこの大会を成功させたいですね。

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「RASHINBAN 2025」のイベント詳細はこちら▼

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sp4ghet氏の公式アカウント

取材: TAIYORO編集部